エンディングノートと自分史はどう違うの?
「自伝・自分史・自叙伝」と比較されるものにエンディングノートがあります。「自伝・自分史・自叙伝」はシニアの方が取り組むことが多いものですから、エンディングノートとどのように違うのか、という質問をよく受けます。そこで、今回は「自伝・自分史・自叙伝」とエンディングノートとの違いに注目してみます。
■広がる「エンディングノート」の作成
エンディングノートとは、老い先短いと感じた方々が、終末期の希望や伝えたい話や記録などを、家族や大切な人に残すノートのことです。「終活」(人生の終焉に向けた活動や準備)という言葉が注目されるようになり、その一環としてエンディングノートも作成されるようになりました。
終末期の希望としては、介護の方法、延命治療、葬儀や埋葬の種類などがあります。伝えたいこととしては、財産や保険、クレジットカード、インターネット関連の個人アカウントの情報などがあります。
この伝えたいことの中に「自伝・自分史・自叙伝」も含まれています。自分の生い立ち、職歴、賞罰、思い出、考え方、周囲へのメッセージなどが含まれます。
■エンディングノートの効果
エンディングノートをつくることで、亡くなってからまたは亡くなる前の昏睡状態の時期に、家族への負担を減らすことができます。すでに、本人とは話すことができません。頼りになるのは、このエンディングノートだけとなります。
「自伝・自分史・自叙伝」の内容があることで、家族は個人の歴史を知り、自分たちへの思いを確認することができます。葬儀の際にこれを読み上げることで、感動を呼ぶかもしれません。エンディングノートは残された人々への、貴重な贈り物になるのです。
残された人たちばかりではありません。エンディングノートは書いた本人にも効果があります。自分の人生を見つめ直すきっかけになります。これを機会に自分の人生を振り返り、周囲への感謝の念が改めてわき上がります。
残された人生にも効果もあります。悔いを残すことなく、精いっぱい生きることができるようになります。「自身が今後の人生について考えるきっかけを与えてくれた」と、多くの人が語っています。残された人生に対して、ポジティブになれるのです。
また、漠然と抱いていた死への恐怖感や不安感もなくなります。もう、思い残すこともなくなるのですから「晴れ晴れと死んでいける」と言った人もいます。
■エンディングノートに関連する市場の動き
終活が広まるにつれ、「終活カウンセラー」や「終活アドバイザー」と名乗る方が見られるようになりました。「自分史活用アドバイザー」のようなものです。彼らにいわせると、終活で最初にとりかかるべきはエンディングノートの作成であり、これが終活の最重要ポイントになるのだそうです。企業に送られてきた社内統制や品質管理のコンサルタントが、ドキュメント作りから手掛けるのと同じです。何事もドキュメント作成から始まるようです。
エンディングノート向けの白ノートも多く販売されるようになっています。完成形ができあがっていて、それぞれの空欄を埋めていけばエンディングノートができあがる仕組みになっています。無料でダウンロードできるエンディングノートのフォーマットも多くあります。
■エンディングノートの構成
一般的なエンディングノートの構成を紹介しましょう。これは20ページの構成です。
表紙 本人写真、タイトル
P2 大切な思い出 写真
P3 目次
P4 プロフィール、自分について
P5 家族について
P6~9 あのころを振り返る
P10~13 私の○○について
P14~15 保険、財産について
P16~17 葬儀、お墓について
P18 友人連絡先について
P19 大切な人へのメッセージ
裏表紙 本人写真
このようにいたせりつくせりで、これなら、誰でもつくることができるかもしれません。
こう見てみると、「自伝・自分史・自叙伝」とエンディングノートはずいぶん似ています。
これをもって、エンディングノートは「自伝・自分史・自叙伝」のひとつだという人もいます。少なくとも、エンディングノートに「自伝・自分史・自叙伝」の要素は欠かすことはできません。「自伝・自分史・自叙伝」に葬儀や埋葬のリクエスト、財産や保険の情報などを追加すれば、立派なエンディングノートになります。
■まとめ
終活の一環としてエンディングノートを書く人が増えている。
エンディングノートは残された人々への贈り物になる。
悔いを残すことなく、精いっぱい生きることができるようになる。
エンディングノートに「自伝・自分史・自叙伝」の要素は欠かせない。