地方都市の市長の自伝

私が自伝・自分史の仕事を始めたころの事例です。
2000年代初頭のことになるでしょうか。この市長は旭日小綬章を受け、そのパーティ向けに、自伝を作成することになりました。
このような立身出世を遂げた方の自伝の例は多くあります。

社史作成で出入りしていた代理店から、急な用事だと電話が入り、その週の週末、地方都市の某市に出張してくれと頼まれました。訊くと、市長経験者の自伝を出版することになり、一泊で取材してくれというのです。ページ数にして120頁。書籍としては薄い方ですが、自伝ではかなりの量になります。
その週末は空いていたので、引き受けることにしました。一泊二日で120ページ分のことを聞き出せるか不安はありましたが、取材して書くのが私の仕事です。とりあえず、出向くことにしました。

ほとんど何の準備もできないまま、代理店の社長と早朝に東京を発ち、地方都市に向かいました。
市長の自宅は古い農家でした。一帯の地主でした。その応接室で紹介され、そのまま社長は帰京し、私は取材にかかりりました。

政治家だけあって話の上手な方で、その時々の写真や資料も豊富でした。選挙出陣時のビデオもありました。
途中から娘さんも入ってきて、いろいろなエピソードもうかがうことができました。その夜には一席設けていただいてご馳走になり、ホテルに入ってその日の取材内容をまとめました。

翌日もお伺いし、ほぼ話をまとめることができました。
いろいろな体験をされている方で、そのすべての人生を描くとかなりの量になるように思えました。しかし、今回は政治家として歩み出し、市長となった活躍に留めることにしています。

帰ってから一週間ぐらいで120ページ分の原稿をまとめました。何しろ急ぎの仕事でした。代理店に納品し、その2カ月後には出版できています。
急ぎの案件にもかかわらず、高い品質の自伝をまとめたと代理店にはとても感謝されました。