■サンプル あるスピリチュアリストの思い

私は過去世で、中央アジアの国の僧侶であり、求道者でした。豊かなオアシスの街があって、少し離れた荒野で修行していました。
しかし、その街が他国からの攻撃を受け、多くの方が焼け死に、その後の疫病でも市民が次々に亡くなっていきました。
私は、賢明に祈りを捧げましたが、人々を助ける力もなく、泣きながら街をさまよいました。荒野に戻り、大きな岩の影で横になり、私は自分の死ぬべき時の来たことを悟りました。無念のまま、私は土に帰ったのです。
これがどれほど前のことかわかりません。
ただ、人々を助けることのできなかった無念さだけが残っています。
だから、せめて今世では、人助けをしなければならない使命を感じています。お客様と同じ目線で接し、少しでもお役に立ちたいと考え、施術を提供してきました。

強すぎる霊感

幼いころから霊感が強い娘でした。人が隠している心の奥が見え、笑っている人の悲しい顔、冷静な人の怒りの顔などが、手に取るようにわかりました。
妙な体験もしています。

3歳のころに川で溺れたことがありました。川べりで遊ぶのが、子ども達の楽しみで、その日は兄と川を渡っていました。ところが、急流に足を取られ、流されてしまったのです。兄もまだ子どもです。あわてて追ったものの、すぐに遠ざかってしまいました。兄は、大声を出して回りに助けを求めました。
その声を聞いて、通りかかったおじさんが捨て身で川に飛び込み、助けてくれました。病院に運び込まれましたが、だいぶ水を飲んで腹が膨れあがっていました。
そのまま生死の境をさまよったのですが、気が付くと母親の懐に抱かれていました。

母は時々そのことを思い出して語ります。庭仕事をしていると、娘の声がすると言うのです。川で溺れており、助けて欲しいと叫んでいます。手にしていた道具を放り捨て、娘の元へ駆け付けました。誰からも聞いていないのに、搬送された病院へ駆け付け、ベッドに横たわっている娘を抱きしめました。そして、助かるよう神様とご先祖様に祈りました。神様はいらっしゃる、ご先祖様は守ってくださると母は語りました。

一方で、他の人には見えないものが見える子どもでもありました。例えば動物の霊が見えたり、黒い人影が見えたりすることもあます。
ある時、顔見知りのおじさんの首がなかったことがあります。あるはずの首がなく、向こうの景色が見えました。そのおじさんは、翌日ダンプカーに轢かれ、首が切り離されて亡くなりした。

火の玉もよく見ました。見ただけではありません。その火の玉が入っていった家では必ず死人が出ました。やがて死人が出る日までも、イメージとして受け取れるようになります。大病の発生するうちもわかるようになりました。わかるとそこは子どもです。
「あのうちでは誰かが死ぬ」
「大変な病になる」などと口にするようになります。
また、訪れた人を指さして「この人、死ぬよ」と言うような子どもでした。実際、その人が3日後に死んでしまい、母親はあわてました。

祖父を病から救う

小学校に入ったばかりのことです。東根に住んでいる祖父が原因不明の病気で重体になりました。ある日母と二人でお見舞いに行きました。
古くからの庄屋の大きな屋敷でした。
祖父は自宅で横になっていました。あのころはまだ50代だったと思います。十分に若く、元気でいるべき年齢でした。しかし、祖父は苦しそうに顔を歪めて、それでも孫の私を見ると、やさしく微笑みました。
祖母がそばにいて、やはり困ったように微笑みかけてくれました。私は祖父を見て、胸の辺を指さして
「この辺が悪いんだ」と言いました。
母がびっくりしました。さらに私は言いました。
「神棚の裏にネズミが巣を作っている。ウンチで汚れている」
「何言っているの。黙りなさい」母が厳しく言いました。
祖父が顔を険しくて、祖母に首を振りました。
祖母が部屋の外に出て
「和男!」と使用人の名前を大きく呼んで、仏間に行きました。
使用人と祖母は仏間でごそごそ作業をしていました。

しばらくして祖父の家を後にしましたが、一週間ほどして奇跡的に快癒したと話題になりました。そして母に問い詰められました。
「麻衣、何で神棚の裏が汚れているかわかったの?」
私にもわかりません。何も答えないでいると
「いい。これからこんなこと、口にしちゃダメよ」と強く諫められました。
どうやら祖父の病の理由は神棚の裏が汚れていることで、ここをきれいに掃除することで元気になったようでした。

母はこれで私を誉めるのではなく、末恐ろしい娘だと感じたようです。

首がなかった人の時も、すぐに死ぬお客様の時も、母親に怒られたことを思い出しました。母は私に感じたことを勝手に言わないように強制しました。
これが私のトラウマになりました。小学校のころはひどく無口になり、学級担任から心配されたほどです。
自分では自分の特殊能力に気づいてはいませんでした。みんながそうだとばかり思っていました。

中学生になって吹奏楽部に入って、トロンボーンを吹くようになりました。1年中1日中トロンボーンばかり吹いていました。
大人の考えることがわかりすぎてつらかったのです。大人は浅はかで単純な存在に見えました。大人達が口にする嘘もお世辞もわかります。だからといって憤るでも悲しむでもありません。
誰とも話したくありませんでした。トロンボーンだけが私の友だちでした。そして、自分の能力を隠し、普通の女の子として生きるよう努力しました。

霊障に苦しんで霊能力を思い出す

こんな能力も高校受験の前から次第になくなっていきました。試験の成績が上がると親が喜ぶ。もっと親を喜ばせたくて、勉強に励んでいるうちに、人の心も未来も見えなくなっていき、平凡な女子高校生になりました。
大学は友人に誘われて美大へ。デザインを学び、デザイナーとして広告業界に就職しました。ですが、クリエイティブな仕事は、華やかなイメージと違ってかなりの激務です。元もと体力的に恵まれてはいない私のことです。仲間と一緒に連日深夜まで仕事をしたり、飲み歩いているうちに、体をこわしてしまい帰省しました。

再び上京、復職し、結婚、出産します。
退職して子育てをしているころ、今度は私に霊障がしばしば起きるようになりました。
ある日「はっはっは。おまえの命を取ってやる、待っていろ」と言うという声がはっきりと聞こえてきました。
ここまでリアルに見えるのは普通ではありません。その日は夫に連絡して、早く帰宅してもらうことにしました。
尋常ではありません。病院の精神科や心療内科で解決できるレベルではないことを悟り、東京近辺で知っている限りの霊能力者を当たることにしました。
ここで教えてもらったのが千葉県柏市にある寺院の住職でした。
訪れた日に私は大暴れをしたようです。
「おまえらに私を自由にさせるか!」と大声で張り上げ、住職の弟子数人を殴る蹴りしたようですが、ほとんど記憶にありません。気が付いたら、寺の一室で横たわっていて、心配そうに夫が私をのぞき込んでいました。
この寺院にはそれから長くお世話になりました。毎日のように通った時期もありましたし、お弟子さんが私の自宅へ訪問してくることもありました。これで、霊障はほとんど消えています。

ここで住職が言います。
「あなたはすでに力を持っています。その使い方を知らないだけです」。

なんのことかわかりませんでした。
師は「もっと勉強をしなさい、修行をしなさい」と私に伝えました。
少し思い当たることもあり、夫に相談しました。
二人で修行を積むことになり、住職の弟子に加わりました。夫も子どものころから強い霊感があり、それに苦しめられてきたと言っていました。

苦しんでいる方々の相談に乗る

そのお寺を借りて、さまざまな人の相談に乗るようになりました。ご祈禱で霊障を取り除くこともありますし、気功マッサージをすることもあります。霊視・霊感で占うこともありました。
やがて駅前に一室を借りて、施術し、口コミで多くの方が見えるようになりました。

占いでは、ほのぼのとした例がたくさんあります。
例えば、あるOLからの相談例。その方はある職人とありふれた恋愛をしました。ありふれてはいても、本人達にはたったひとつのかけがえのない恋愛でした。
しかし、ある日彼の浮気が発覚しました。当然彼女は彼を責めます。しかし、彼の態度は意外なものでした。
「うるせえなあ、おまえ。おまえはストーカーか」と怒鳴ります。さらには
「俺の前から消えうせろ」とまで暴言します。
その彼女が泣きながら私に訴えます。
「どんなことを言われても彼が好きなんです。彼と結ばれたいんです。復活させてください。私お願いします」と。

私は彼女にご祈禱を上げ、
「神様からの啓示が降りてきました。それは赤いハンケチです」と語りました。
啓示とは神から与えられた言葉で、たいていは断片的なことばかりです。その時の「赤いハンケチ」は願いを叶える重要な行為になります。
彼女はその日の帰り道にデパートによって赤いハンケチを購入しました。1枚ではありません。5枚買いました。その夜のうちに効果が現れました。彼から電話が来たのです。いきなり
「俺が悪かった」と謝罪します。
「俺が悪かった。申し訳なかった。心を入れ替える。だから結婚してくれ」と頼み込んできたのです。

霊障を救う

霊障も救っています。
その母親の娘は前例のない、珍しい病気と言われ、治療方法もないと宣告されました。腹水が溜まり、ご飯が食べられなくなり、体力が落ちていました。お腹が圧迫されて息ができなくなったため、お腹に針を入れて水を抜くことを繰り返しています。
これは明らかに霊障です。
入院している病院を訪れて週に1回ご祈禱を上げ、半年ほどでだいぶ回復し退院できるようになりました。さらに1年通っていただき、ご祈禱しています。

このような例は多く、私の体験したようなラップ現象や死霊に取り憑かれた方も救っています。
死霊は祓えばそれきり再発することはないのですが、生き霊はそうはいきません。生き霊は行きている方からの怨念です。いったん祓ってもその方が生きている限り呪ってきます。死霊には黒いオーラが見えます。生き霊はうす赤色のオーラが見えます。恨み、妬み、憎しみ、自己本位な恋愛感情などの強い想念がうす赤色のオーラになるのです。
生き霊はその元を絶つ必要があります。理想的なのは和解すること、詫びることです。

妻と離婚してから原因不明の病気にかかり、入院しているご高齢の男性からの相談でした。指定された病院を訪れると、左手に腱鞘炎があり、左半身のしびれと左足の爪が黒色に変色していました。
「失礼ですが奥様はどうされていますか?」と私は尋ねました。
「別れて数年がたちます」
「痛みはそのころからでしょうか」
「1年ほどしてからです」
これは、その奥様からの怨念です。2回ほどの祈禱で回復に向かい、退院も可能かと思われたのですが、すぐに再発します。
「別れた奥様に詫びることをおすすめします。この痛みから逃れるにはこれしかありません」
「私は悪いことをした覚えはありません」
「しかし、奥様が許してくれない限り、この痛みは何度でも襲ってきます」
「性悪な女だ」
「そう思っていることが原因です。何度も何度も詫びてください」
その男性は半年ほど抵抗していましたが、観念したのが、詫びることを決心し、それから数カ月で退院できるようになりました。

夫が交通事故死

多くの死霊や生き霊を祓ってきました。ところが、相談者から切り離した霊は行き場を失い、私に取り憑いてくるのです。逆に、私に取り憑かせることで、相談者から切り離すこともありました。
私は、生まれついての霊媒体質らしく、何度も憑依されたことがありました。その度に体調を崩してしまいます。頭痛が続いたり、ご飯を食べることができなります。
こんな時に救ってくるのが、夫でした。夫が私に取り憑いた霊を祓ってくれるのです。こんな荒っぽい施術を年に何度か繰り返していました。

こんなことを繰り返しているうちに、最愛の夫を交通事故で失ってしまいました。親子3人で車に乗って、運転しているのは私でした。3人とも大けがをしましたが、夫だけが亡くなり、葬式の日、私はまだストレッチャーに乗っていました。娘は集中治療室にいましました。

もしかすれば、亡くなった夫に悪霊が憑いており、それが原因でなくなったのではないかと悩み、その後しばらく施術を中止しました。他人の不幸を背負うようなことはもうできません。

しかし、柏市の住職が言います。
「まだまだ修行の身。もっと精進しなさい。徳を積みなさい。それには人を助けること」
神様も言っていました。
「困った人を助けること。それが今生のあなたの使命です」と。
わだかまりを残しながらも、私はお客様の相談に乗ることにしました。残された娘を育て上げるためにも収入が必要です。

年下の男性と再婚

やがて、私は恋をしました。
相手は夫の会社の同僚でした。前から知ってはいましたが、何度か会ううちに互いにひかれ、逢瀬を重ねるようになりました。
娘も賛成しました。
「パパが欲しい」と言います。彼に娘はよくなついていました。
しかし、大きな問題がありました。彼の親です。
私は39歳。彼は28歳。11歳も私が年上です。私達は気にしていませんが、彼の親が許してくれません。11歳も年上だし、子どももいる再婚になります。
会ってさえくれません。私たちは大人なんだから、親の承諾など関係ないとも思いましたが、私は気にしました。
「いくらなんでも無理ですよ」とあきらめようとするのですが、そこは恋です。もう別れることができません。どうしても結婚したい。
神様の声を聞くことにしました。
そうしたら神様はずいぶん無責任なことを告げます。
「妊娠しなさい」と言うのです。
なるほどとも思いました。二人はよっぽどの度胸がないと結ばれません。妊娠したら「孫に勝てるものはない」と、彼の両親が結婚を認めてくれるかもしれません。
これは「賭け」です。彼に相談したら、それはいいアイディアだと賛成してくれました。
私はすぐに妊娠し、これを両親に告げました。
幸い「賭け」は成功し、喜んで結婚を許してくれました。今ではいい嫁をもらったと自慢しています。

磁場の調整

両親は怪しげに見えた私の仕事も認めています。再婚してから、仕事の幅が広がり、「磁場の調整」と「心のケア」の2つを手がけるようになりました。

今まで「うちがガタガタ鳴る」「妙なラップ音がする」などというのは、悪霊の仕業と考え、ご祈禱で癒していました。しかし、原因はそればかりではないことに気が付きました。再婚した夫の実家に度々行くことになりましたが、どうも様子がおかしい。聞いてみると、有名な古戦場で、霊視すると亡くなった侍の怨念が残っています。
この数が尋常ではないほど多く、とても私一人の手で除霊できるものではありません。さらに探ってみると、磁場が淀んでいることに気が付きました。古戦場や川の氾濫が繰り返される場所は磁場の歪みが見られます。

地球は大きな磁石といってもよく、このため方位磁針で方位を測ることができます。この磁場に人間の活動が悪影響を与え、人間の悪いエネルギーが地面にしみこみ、本来の磁場を狂わせてしまいます。そして、この狂った磁場が人間に悪影響を及ぼし、病気になるなどの不幸を招き寄せます。
影響を与えている川や池、神社などもチェックし、磁場を調整したところ、光が降りてきて、磁場が正常な状態に戻りました。
それまで病気や犯罪の多い地域でしたが、私の磁場調整によってずいぶん住みやすい地域に改善されました。これを夫の両親に報告すると、疑うことなく信じてくださり、近所にも自慢しているようです。
「川の魚が元気になった」と義父は言っています。

磁場調整を施術に取り入れるようになり、相談が全国から寄せられ、月に一度は地方出張となっています。

心のケア

もうひとつ、心のケア。
例えば子どもが登校拒否を起こした場合、それまでは悪霊に原因を求め、除霊や浄化で解決してきました。しかし、これで一時期良くはなるものの、しばらくすると再発します。
これを不思議に思って追求したところ、その子どもあるいは親の心の持ち方に原因があるとわかりました。
暴走族から抜け出させたいと相談してくる親もいました。暴走族に入った原因は、希薄な家族愛にありました。必要な愛情を親から得ることができず、暴走族に入り擬似的な家族関係を築いていたのです。こうなると、更生させるのは除霊ではなく、親とお子さんです。

万引きがやめられないという少女が、親に連れられて訪れたこともありました。万引きが悪いことはわかっています。ですが、どうしてもやめることができないのだと言います。
これもやはり希薄な家族関係が原因でした。親が娘を真剣に考えてくれないのです。ただ唯一万引きをして警察沙汰になると、親が真剣になって怒ってくれました。その怒った表情を、少女は切望し万引きを繰り返していたのです。
解決策は当人同士が持っています。

過去世の癒し

ご祈禱による除霊・浄霊、霊視・霊感によるアドバイスと占い。これに磁場の調整と心のケアが加わって、私はますます忙しくなりました。人を助けることに生きがいを覚えています。

施術に明け暮れる日々、こんな夢を見ました。
私は過去世で、中央アジアの国の僧侶であり、求道者でした。しかし、多くの人を助けることができず、無念のまま、土に帰りました。
その僧が癒され、魂が浄化され天に昇華していくのが見えました。
私は正しいことをしている、役になっているのだなと思い、少し涙がにじみました。

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